政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
そうは言っても、将吾さんとはやはり顔を合わせづらい。会社でどうしても避けてしまう。
いたずらに、時ばかりが過ぎて行く。
海洋は、松濤のおじいさまになにか言われるまで、このマンションに居座るつもりのようだ。
学生からビジネスの世界に戻って、いきなり二つの企業の重役を兼務するのだから、かなり多忙を極めるみたいだ。
幸か不幸か、わたしとは毎朝の「おはよう」と毎晩の「おやすみなさい」の挨拶をする程度だ。
寝るときはもちろんきっちりと部屋を施錠し、ユニクロのもふもふの下にはきっちりと就寝用のブラを着用している。
ごはんの用意はわたしがしているけれど、海洋とはすっかりルームシェアしている「同居人」といった雰囲気だ。
酔っ払ってキスをしてしまったあの醜態だけは、
……もう二度と曝したくない。
海洋だって、
『悪かったな。急にあんなことして』
って、謝っていたもの。
……きっと、わたしと同じ気持ちに違いない。