政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
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翌朝、まるでホテルのルームサービスのように、誓子さんの部屋までアメリカンスタイルの朝食をハウスキーパーが持ってきてくれた。極楽だ。

ミルクやオレンジジュースなんかが、本当にホテルの味だったので尋ねると、誓子さんのお父さんがあるホテルのものを気に入って、そこで提供しているのをわざわざ取り寄せているらしい。

クロワッサンも外はサクッとして中はもっちりと濃厚な層を形成しているので、たぶんこれもすごく美味(おい)しくて評判のパン屋さんのものだろう。
プレーンオムレツを割ると、とろんとしたじゅくじゅくの卵が漏れ出る。ソーセージもいかにも「腸詰め」という感じの本格派だ。

「……確かに、こんな美味しいものが黙ってても出てくるのなら、お料理しませんよねぇ」

「でも、今、朝食を持ってきた川上の奥さんに教えてもらってやってんのよ。うちのママは料理なんてほとんどしたことないもの」

『川上』さんというのは昨夜、深夜にもかかわらずわたしのために車を出してくれた運転手さんだ。どうやら、夫婦でこの家に住み込みで仕えているらしい。

「ケンちゃん、喜びますよ」

わたしは、ふふふ…と微笑んだ。


「あの……お嬢さまにお客様がお見えなのですが」

今ちょうど話をしていた川上さんの奥さんがやってきて、誓子さんに声をかける。

「わたしにお客?こんな時間に?」

誓子さんがきょとんとする。

「ケンちゃんじゃないんですか?
……待ってられなかったんですよ」

そう言うと、誓子さんが弾かれたように部屋を出て行く。

わたしはふふふ…と微笑んだ。

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