政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

広くて立派な玄関だった。床は大理石だ。
目の前に伸びる廊下の両側には、収納スペースとおぼしき扉がずらりと並んでいる。

「こっちの方は、パーティルームだ」

そう言って、将吾さんは靴のまま、ふかふかしたカーペットが敷きつめられた廊下を歩いていく。

……そうか、この両脇の収納スペースはお客様のコートなどをお預かりするためのものなのね。

将吾さんが、廊下の先にある観音開きの瀟洒な扉を開け放った。そこには、五十帖はあろうかという空間が広がっていた。

しかし、そこはまさに「空間」で、造り付けのキッチンが奥にあるだけで、ほかにはなにもなかった。

とはいえ、そのキッチンは見るからに「業務用」のステンレス仕様で、パーティの際に料理人に出張してもらうことを前提にした造りだった。

……きっとここは、会社が使おうとしている、外国のお客様のために開くパーティ専用の部屋なんだわ。

将吾さんはさっさと部屋の奥へ進んで行く。


……どうして、将吾さんは、こんなところにわたしを連れてきたのだろう?

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