政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
「会社のため、というのが一番大きな理由であることに間違いはない」
将吾は「副社長」の顔で言った。
「我が社の統括システムは脆弱すぎて、一刻も早く改善しなければならない状況だ。なんとしても、早急にその方面の人材を確保する必要があった。
……条件に合う優秀な人材であれば、たとえほかにどんな事情があろうと」
わたしはこくり、と肯いた。
「だが……それとは別に」
将吾は「副社長」の顔を外した。
「結婚してから、おまえたちの焼け木杭に火が点いて、おまえにふらふらされちゃ困るからな。
……今のうちに、すっかり『鎮火』してもらっておかないと」
そう言って、顔を顰めた。
「……どうして、昔、わたしと海洋がつき合ってたのがわかったの?」
……もしかして、お見合いするにあたって、興信所とかで調べていた、とか?
「水島の挙式のときに、あいつがおまえを、あれだけがっつり見てりゃわかるさ。
あいつ一人だけ、正面の新郎新婦に見向きもせず、後方のおまえだけをずーっと見てたんだぜ」
将吾が気の抜けた笑いを浮かべた。
「それに、披露宴のときに、おまえとあいつが、なかなか戻ってこねえしな」
八年ぶりに再会した海洋と、キスをしていたときだ。