政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

「も、申し訳ありませんでしたっ」

わたしは、今度こそドアを閉めようとした。

……すると。

「……入ってくれ」

スウェット姿の副社長が、ベッドから半身を起こした。

「部屋をちょっと片付けてほしい」

寝起きで、ご機嫌が斜めどころかあらぬ方向にひん曲がった副社長が、さらに顔を(しか)めて言った。

ベッドの対面の窓際には、ソファとローテーブルがある。ソファには脱いだ服が無造作に掛けられ、ローテーブルには夜食とみられるサンドウィッチを食べたあとのビニールや空のペットボトルなどがあった。

「し、失礼します」

わたしは部屋の中へ入り、後ろ手でドアを閉めた。ピッ、という施錠の音がした。

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