政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
「大橋さんも出て行ったことだし、早くブシュロンへ行きましょうよ」
わたしが将吾さんからキャリーバッグを引き取ろうとすると……
「先刻まで着てたスーツが入ってんだろ?
シワになるからワードローブに掛けとけよ」
……えっ?
「早くしろ。時間ないぞ」
将吾さんがブライトリングを見た。
わたしはあわてて、キャリーバッグから自分のブルックスブラザーズのスーツを取り出し、プライベートルームのワードローブの中にある将吾さんのヒューゴ・ボスのスーツの隣に掛けた。
そして、わたしたちはようやく会社を出ることになった。