『ツインクロス』番外編
「え?すきなひと?」


突然の質問に、夏樹は首を傾げた。

目の前でわたわたしてる変な雅耶と、にこにこ顔の冬樹。

二人の顔を交互に眺めながら…。


「うーん?ふゆちゃんも、まさやも大好きだよ?」


「「えっ?」」

嬉しそうな顔の二人を他所に。夏樹は「おとうさんも、おかあさんも好きー。あとねー」とか嬉しそうに指折り数えている。

「ちょ…ちょっとまって!なつき、そういう好きじゃないんだっ」

どんどん知り合いの名前が出てくる夏樹に、待ったをするように雅耶が言った。

「そういう好きじゃないって…なに?」

本気で分かっていない様子の夏樹に、苦笑を浮かべながら冬樹が説明する。

「あのね、なっちゃん。ボクらが聞いてるのは、『れんあい』の好き…なんだ」


「れんあい…?」


本気で考え込んでいる夏樹に、冬樹は助け舟を出した。

「じゃあさ、なっちゃん。なっちゃんがカッコイイなぁって思う人はだれ?だれかいないかな?」

「かっこいい人?いるよ!」

この質問なら、素直な夏樹の気持ちが聞けそうだ。

冬樹と雅耶は顔を見合わせると、頷いた。

「だれ?だれがカッコイイとおもうんだ?なつき?」

焦りを見せる雅耶と、静かに答えを待つ冬樹に。

夏樹は「それはだんぜんっ!!」と人差し指を立てて嬉しそうに笑った。

「「…だんぜんっ?」」


「空手のなおずみ先生だよー♪」


その、思わぬ強敵の登場に。

雅耶も冬樹も石化するのだった。

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