『ツインクロス』番外編
「なっちゃんに聞いてみた方が早いんじゃない?」

「いや、まぁそうなんだけどさ…。すごく知りたいけど、コワイっていうか…」

「うーん…」

好きな人がいない冬樹でも、その気持ちは分かる気がした。

冬樹は「なるほど」…と頷いた。

「でもさ、もしなつきに聞いてみても『ふゆちゃん!』ってこたえそうでイヤなんだよなー」

「…えっ?」

拗ねるようにこちらを見てくる雅耶に冬樹は驚きの表情を見せた。

「兄妹なんだから、それはふつうだろ?でも、まさやが言ってるのは、そういう好きじゃないでしょ?」

「そうだけどー。本気でそう言いそうなんだもん。おまえたち、本当に仲良すぎるしー」

恨めしそうに見てくる雅耶に、冬樹は苦笑を浮かべた。


実際、そう言われるのは悪い気がしない。

冬樹は本当に夏樹のことが好きだったし、夏樹がそう言ってくれたら、きっとこの上なく嬉しい筈だ。

でも、それは雅耶にしても言えることだろう。

自分たちは、いつだって兄妹のように三人でいたのだから。


「でも、それを言ったらなっちゃんは、まさやのことだってぜったい好きだよ」

フォローの気持ちも勿論あるが、本当にそう思ったので素直に冬樹は言った。

「…そうかな?」

「そうだよ」

少しだけ機嫌が直った雅耶に、冬樹は笑顔を浮かべた。

その時。


「ねー、二人でなに話してるの?」


噂の張本人。夏樹がやって来た。

「あ、なっちゃん」

「わっ…なつき!」
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