異世界征服
チャイムが鳴り、クラスの奴らは続々と立ち始め、帰り支度をする。
俺もまた、教材やプリントを鞄に入れていた。

「槙くん帰ろ~!」
お前という奴は……。
一体何処までタイミングが悪いんだ、全く。

まあ生憎、俺は他の奴の視線など気にはしないが、お前にとっては俺と関わるのは、高校生活を棒に振るようなことじゃないか。
俺は別に気にしないが。
人に気を遣う人間でもないのでね。
コイツの場合は、人間であるかも危うい訳だがな。

俺は無言で、クラスメイトの痛い視線の中、お構い無しに教室を出た。
勿論彼女も通り越したが、そこでついてこない訳ではなかった。

「ちょ!槙くん、何で逃げるの?ていうか、槙くんのクラスメイト怖くない?すっごい睨んでたよ?」
おーい、聞いてる?と隣を歩いて喋り続ける彼女。

凄い愛想が上手いのか、いや、素なんだろう。
「空良~!帰るの?」
「うん!ちょっと用事があるの。ごめんね千代ちゃん」
「大丈夫だよ!今度カラオケ行こうね」
「わ~い♪楽しみにしてるね♪」
こんな早く馴染めるのは。

彼女はこの世界の住人ではない。
故に、同じ中学の知り合いは、確実としていない。
しかしも、名前呼びの上カラオケのお誘いなどと……俺としてはあり得ないことである。
そもそも、友達という関係は要らないと認識しているのだから。

「家に来い」
「え!いいの!?やった~!」
勘違いするな。
ディスについて知るためだ。

まさか巻き込むだけ巻き込んで、後は茅の外だなんて、そんなことはないからな。
「あくまでも情報収集だ」
「わかってるよ…エヘヘ♪」
本当にわかっているんだろうか。

学校を出ると、そのまま歩いて自宅に向かった。
学校に通うために、電車に乗って金を費やしたり、自転車通学で無駄に体力を浪費したり、そんなことはしたくないから、俺は徒歩だ。
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