異世界征服
自宅に着くと、彼女は早速部屋を見回した。
マンション、2LDK、一人暮らし。
特に家具もない部屋を見て、何が楽しいのやら。
「おい、何しに来たんだ」
「遊び!」
「帰れ」
何となくわかってはいたものの、ハッキリ言われると腹立つもので、つい冷たく言い放った。
幸い彼女は、弁解をしてディスについて話し始めた。
「ディスになら、この間行ったことあるよね」
「ああ」
俺は頷きながら、行った時の事を思い出す。
モノトーンで、街並みは然程この世界と変化はない。
大きな変化と言えば、やはり重力になるだろう。
例えるならば、月のような重力だった。
実際月に行ったことはないが、例としてはテレビで見るのが手っ取り早いと思う。
月に行った宇宙飛行士は、歩くだけでいちいち体が浮いて、スペースシャトルの中では常に宙に浮いている状態だ。
無重力、とまでは言わずとも、確実に地球よりは宇宙に似た重力だった。
「ディスは、この世界の並行世界と考えられているの」
「並行世界?」
思わず聞き返した。
「うん。それでも並行世界になったのは、随分前って考えだけどね」
彼女は続けて言った。
「この世界とディスは、時の流れが違うの。この世界での十日がディスでは大体四日くらい」
十分の四、つまりここの人にとってディスの一日は、二日半前後ということか。
「お前がこの世界の人間だったら四十歳ってことだな」
「うるさいっ!」
俺は不覚にも、彼女に頭を叩かれた。
「んっ、んんっ!話を戻すよ」
「ああ」
俺は軽く頭を押さえ、彼女と視線を合わせた。
「とにかく、ディスはここより時間が遅いから、並行世界となったのはディスでは百五十年くらい前。だから……」
「ここでは三百七十五年、か」
桁が多くなれば、やっぱりそれなりな差が出るな、と、計算しつつも感じた。
「そう、大体十七世紀だね」
マンション、2LDK、一人暮らし。
特に家具もない部屋を見て、何が楽しいのやら。
「おい、何しに来たんだ」
「遊び!」
「帰れ」
何となくわかってはいたものの、ハッキリ言われると腹立つもので、つい冷たく言い放った。
幸い彼女は、弁解をしてディスについて話し始めた。
「ディスになら、この間行ったことあるよね」
「ああ」
俺は頷きながら、行った時の事を思い出す。
モノトーンで、街並みは然程この世界と変化はない。
大きな変化と言えば、やはり重力になるだろう。
例えるならば、月のような重力だった。
実際月に行ったことはないが、例としてはテレビで見るのが手っ取り早いと思う。
月に行った宇宙飛行士は、歩くだけでいちいち体が浮いて、スペースシャトルの中では常に宙に浮いている状態だ。
無重力、とまでは言わずとも、確実に地球よりは宇宙に似た重力だった。
「ディスは、この世界の並行世界と考えられているの」
「並行世界?」
思わず聞き返した。
「うん。それでも並行世界になったのは、随分前って考えだけどね」
彼女は続けて言った。
「この世界とディスは、時の流れが違うの。この世界での十日がディスでは大体四日くらい」
十分の四、つまりここの人にとってディスの一日は、二日半前後ということか。
「お前がこの世界の人間だったら四十歳ってことだな」
「うるさいっ!」
俺は不覚にも、彼女に頭を叩かれた。
「んっ、んんっ!話を戻すよ」
「ああ」
俺は軽く頭を押さえ、彼女と視線を合わせた。
「とにかく、ディスはここより時間が遅いから、並行世界となったのはディスでは百五十年くらい前。だから……」
「ここでは三百七十五年、か」
桁が多くなれば、やっぱりそれなりな差が出るな、と、計算しつつも感じた。
「そう、大体十七世紀だね」