ペンダント~夢からわかる過去の真実~
拝啓


春へ


元気ですか?そっちの世界はたのしいですか?私は春がいなくなって寂しいけど、春が残してくれたペンダントを胸に毎日頑張っています。
今日は49日ですね。春が次の世に旅立つ日です。その旅立つ先はどこなんでしょうね。春にとって幸せな場所であることを願います。
春と桜という名前。私たちが春の季節に生まれたから 春 桜 という名前になったと母から聞きました。この名前を想うと、春と繋がっているような感じがしてとてもあたたかい気持ちになります。まだ春が私の隣にいるみたいで...。
私のお父さんのはなしを聞きました。お母さんはいるのにどうしてお父さんはいないんだろうと。お父さんは私が記憶喪失になった直後に亡くなったと聞きました。私が記憶喪失になったショックで倒れてしまったと。私のせいで家族は追い込まれてしまっていたんだと思うと申し訳ない気持ちになります。それと同時に私は家族にとても愛されていたんだなという気持ちにもなります。お父さんのことは残念ながら思い出せないけど、もしお父さんに会ったら愛してくれてありがとうって桜が言ってたよと教えてあげてください。お願いします。
春は私が記憶喪失になってしまった時、私と春が写っている写真を全部切ってしまったけど、お母さんから唯一私と春が写っている写真をもらいました。それは赤ちゃんのころの写真。2人同じベッドの上で手を握ってスヤスヤ眠っている写真でした。赤ちゃんだったからか双子だったからかすごく似ていて、微笑ましい気持ちになりました。この写真は春と私が唯一一緒に写っている写真だから大切にしています。
最後になりますが、春、16年間という短い間だったけれど、ありがとうございました。春のことはこれから先、なにがあっても絶対忘れません。だから、次の世に逝っても私、桜のことも少しは覚えててくれたらうれしいです。辛いとき、悲しいときは、写真とペンダントを見て頑張ります。そして春の分まで頑張って生きようと思います。だって私は春の片割れなんだから。


町田 桜より
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