御曹司と婚前同居、はじめます
包み込むような優しいキスが次第にかじりつくような荒々しいキスに変わり、僅かな隙間から声にならない吐息が洩れていく。

このまま瑛真に全てを捧げてもいい――そう覚悟をしたところで、キスは再び優しいものへと変化した。

名残惜し気についばんで離れた唇が、


「美和のことが本当に大好きなんだ。だから、今夜はこれで十分」


落ち着いた声音で言った。

そう……なんだ。

てっきり最後までするものだと思っていたから、肩透かしをくらって呆けてしまう。

瑛真はおかしそうに肩を揺らして笑った。


「真面目なお嬢さんとしては、三回目のデートの後くらいが妥当なのかな?」

「なっ……! 馬鹿にしてる!?」

「してないよ。本当に、こうしているだけで幸せなんだ。それに……」

「それに?」

「気持ちが昂ぶり過ぎて、今夜は優しくできない気がするから」

「……!!」


そんなことを言われたら私の方が昂ぶってしまうじゃない!
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