御曹司と婚前同居、はじめます
互いに無言のまま布団の中へ潜り込んだ。すぐ目の前に瑛真の綺麗な顔がある。

しばらく見つめ合った後、瑛真は眉を下げて困り顔を作った。


「しつこいかもしれないが、また聞いてもいいか?」


真剣な瞳を見つめ返す。


「俺の彼女になって欲しい」

「――はい」


頷いて、すぐに瑛真の胸元に顔を埋めた。

こんなの恥ずかしくて顔を合わせられないよ。

瑛真は返事を聞いてすぐに私の身体を強く抱き締めた。

瑛真の心臓の音、凄い……。

同じ様に緊張してくれているのなら嬉しい。

冷たく感じていた布団の中はもう熱がこもっている。

誰かと一緒に寝るって、こんなにも温かいものなんだ。

しばらく抱き合った後、自然な流れで顔を見合わせる。

吸い込まれるような瞳に目がくらんでいるうちに、柔らかな唇が触れた。

この前とは違う、体温が感じられるキスだった。
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