御曹司と婚前同居、はじめます
「……は?」

「俺も遊びの一つや二つは経験している。なにも美和に嫁入りまで処女を守れなんて古臭いことは言わない。もちろん初めての相手は俺が良かったが……」


とんでもないことをお父さんの前で言わないでよ!

苦笑いを浮かべているお父さんの横で、私は身の置き場がなくなって小さく縮こまった。

瑛真は私たちに構わず続ける。


「遊びと本気は区別してもらわないと困るからな。おじさんが言ったように、美和がとち狂って俺以外の奴と結婚しないように見守らせてもらっていただけだ」


それの何が悪い、と言葉が続きそうな、至極当然に言われて呆気に取られてしまった。

言っていることがあまりにもおかしい。それなのに本人は真剣だというところに問題がある。

それに、そもそも私に固執する理由が分からない。


「いくら瀬織のおじいさまの夢だからといって、瑛真がそこまですることはないんじゃないの? 私もおじいちゃんのことは大好きだったけど、それとこれとは別っていうか」


そこまで言ったところで、瑛真は嘆息を洩らした。
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