御曹司と婚前同居、はじめます
「そうだよな。以前付き合っていた男とは三ヶ月前に別れているはずだ。その後は特に目立った交友関係もなかったし、俺以外にいるはずがないよな」

「――何で」


目を見開きすぎて瞳が乾いてしまった。意識的に瞬きを数回繰り返し、恐る恐る瑛真へ視線を戻す。

変わらず穏やかな微笑みを湛えている瑛真に、背筋がゾクッ、とした。


「もしかして、調べたの?」

「会えないあいだ美和のことが気掛かりで仕方なかったんだ」


さっきとは違う意味で怖いと思った。

指先が微かに震える。

別に調べられて困るようなことは一つもない。でも、こんなにも不愉快な思いをしたのはいつ振りだろう。

膝の上で両手を握り締め、ごくりと唾を一度飲み込んでから口を開いた。


「そんなことまでしなくちゃいけないような相手なら、結婚しないほうがいいんじゃないの?」

「その逆だろう。好きで堪らないからこそ、変な虫がつかないように気にかけていたまでだ」


瑛真は被せ気味に言った。
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