御曹司と婚前同居、はじめます
「創一郎。おまえもおまえだ。いつまでこんなくだらないことを続ける気だ?」

「くだらないこと?」

「俺の真似事はもうやめろ」


創一郎さんは一瞬にして憎悪に満ちた顔になった。

あのポーカーフェイスの創一郎さんが……。


「形までならまだいい。でも、気持ちまでは真似できるものではないだろう」

「何を自惚れたことを言っているんだ?」

「事実だ」


創一郎さんの頬がピクッと痙攣したのが見て取れた。


「まやかにいいように利用されて、情けなくないのか?」

「お前に何が分かるんだよ」

「ああ、さっぱり分からない」


緊迫した雰囲気が怖くなって瑛真の背に隠れた。

どうしよう。これって全て私が原因だったりするの?


「喧嘩は他所でやってちょうだい。野蛮なのは嫌いだわ」


まやかさんの一声で、創一郎さんの表情が情けないものに変わった。


「まるでまやかの犬だな」

「ちょっと瑛真! 言い過ぎだよ!」


さすがに聞き捨てならない。

私が怒ると今度は瑛真がきまりが悪そうにする。


「どういうことか、私にも教えて」


この場にいる全員に向けて言うと、各々全く違う感情を浮かべた顔で席に着いた。


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