御曹司と婚前同居、はじめます
まやかさんの隣に創一郎さんが座り、その正面に私、横に瑛真といった形でテーブルを囲んだ。
二人は食事を済ませたあとらしく湯呑みが置いてあるだけだった。
「美和は、昼は済ませたのか?」
「あ、うん、軽く」
本当は缶コーヒーを飲んだだけで食事をとっていない。でも、彼等の前で素直に言うのは気が引けた。
「そうか。せっかくだから美和にも味わって欲しかったんだが、また今度二人で来ようか」
「う、うん」
「飲み物だけもらおうか。何がいい?」
瑛真はすっかり元通りになっている。
呆気に取られていると、
「勝手に和まないでくれる? まだ話はこれからよ」
私だけがまやかさんにきつく睨まれる。
私のせいじゃないのに……。
「後から二人も来たんだから飲み物くらい頼まないと店に失礼だろう。まやかは玄米茶でいいか? ここの好きだっただろう?」
「……そうね」
好みを覚えてくれていたのが嬉しかったのか、まやかさんはすぐに機嫌を直した。
「美和は、はちみち柚子茶にでもしておこう。少しでもカロリーを取った方がいい」
いきなり大きな手のひらが頬を包むものだから、顔が熱くなった。
今朝鏡で見た時に少し頬がこけたかなって思ったけど、瑛真も気付いたのかな。