御曹司と婚前同居、はじめます
私の不安をよそに瑛真は続ける。


「そしてまやかへ気があるようにすることで、美和への執着を和らげようとしたんだ。だから昨日、美和よりまやかを優先させた」


それならそうって言ってくれればよかったのに。


「美和は何も知らないと思っていたんだ。自分へ向けられる敵意を知ることは気分がよくないだろう? どう説明すれば美和が傷付かないか考えていたんだ。ましてや俺が蒔いた種だし……」

「それくらいのことで傷付いたりしないわ。瑛真は過保護なのよ」

「そうだな。すまなかった」

「それに、いつまでも誤魔化せることじゃないでしょ?」

「まあ、そうなんだが、まやかにはもうすぐ縁談の話がいく。べリアの社長もかなり乗り気になっているから、それまでの辛抱だと思っていた」

「えん……だん?」


まやかさんの顔が凍りついた。


「そうだ。パーティーの翌日に綾崎社長と会う機会があって、その時に俺から薦めておいた」

「なっ……!」


まやかさんは今にも泣き出しそうな顔で唇を噛み締めた。

さすがにこれは可哀想だ。


「瑛真」


咎めるように強い口調で呼ぶ。


「やっていいことと悪いことがあるわ」

「そうだな。でも俺はこれが悪いことだとは思わない」

「瑛真、いい加減にしろよ」


ずっと黙って聞いていた創一郎さんが怒りを込めて睨みつけた。
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