御曹司と婚前同居、はじめます
「私が聞きたいのは、どうしてこそこそ二人で会っているのか、ということ。それに昨日抱き合っていたことも」


瑛真が身体ごと私へ向き直る。


「抱き合っていたわけではない。まやかが抱きついてきただけだ。あの時すぐに弁解しなかったのは、まやかを優先した方が問題が起きないと思ったからだ。すまなかった」

「心外ね。昨日だけじゃなくて、最近の瑛真さんは私を拒絶したりしなかったじゃない」


すかさずまやかさんが抗議する。

最近は拒絶しない？　それって、昨日に限らず抱き合ったりしているってこと？　まさか、それ以上のことも？

真意を問おうと瑛真を見つめると、優しい目が見つめ返してくる。


「嫌な思いをさせたよな……？」


素直に頷くと、瑛真は力強く抱き締めてきた。


「ちょ、ちょっと！？」

「本当に悪かった」


腕から解放されて視界が開けると、冷ややかな視線がまやかさんと創一郎さんから注がれる。

うわぁ……気まずい……。


「まやかが未だに俺を好きで、美和に危害を加えようとしているのが見て取れた。だから美和をまやかから遠ざけるために、会社に同行させるのをやめたんだ」


まやかさんが顔を真っ赤にしている。

ちょっと、これ、このまま続けて大丈夫なの？
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