御曹司と婚前同居、はじめます
「だから無条件で俺に懐いてくれて、優しくしてくれたのは美和だけだった。あの頃から美和が大好きだったし、大人になったら男の俺が守ってやるんだって心に決めていた」

「そんな、たったそれだけのことで……」

「美和がいなければ俺は間違いなくグレていた」

「なんか……想像がつかない」


美男子の不良も、それはそれで絵になりそうだけれど。


「これでも小さい頃は好奇心旺盛でやりたいことは沢山あったんだ。徐々にそれは薄れていって、物欲もなくなってしまったが、美和だけは諦めきれなかった。欲しくてしかたがなかった」


反射的に、殺風景な瑛真の寝室へと顔を向ける。

物欲がないからああいう部屋なのね……。

それにしても、こうも直球で想いをぶつけられてしまうと反応に困ってしまう。

当たり前のように顔は熱が集まって真っ赤になっているはず。
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