御曹司と婚前同居、はじめます
「一日くらいなら家に帰ってもいいんだろう? 一緒に屋敷に戻ったらどうだ?」


ハウスキーパーを雇って定期的に掃除をしているから、屋内は綺麗な状態を維持しているとおじさんから聞いている。

美和はふるふると首を横に振った。


「おばあちゃん、あの家には戻らない方がいいって言ってた」


美和の口からおばあさんの意思を聞かされて、何ともいえない気分になる。

難しいものだな。

それでも美和はあの家に戻りたいと思っているのだろう。だからこんなにも苦しそうな顔をしているんだ。

人の気持ちというのは簡単には推し量れない。それでも美和の心だけは見透かさなければいけないと思っている。そうしなければ、美和は本心を押し隠そうとするだろうから。


「詳しく見てみないとわからないが、あの家、リフォームしてみたらどうだ?」

「……え?」


突然の提案に、美和はワイングラスを持ったまま固まった。

グラスを落として怪我でもされたら困るので、そっと手からグラスを抜き取る。
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