御曹司と婚前同居、はじめます
「さすがに取り壊すのは勿体ないと思うし、美和はあの家に住みたいんだろう? だったら、ここを出てあそこで暮らせばいい」

「そ、れは……瑛真も、一緒?」

「当たり前だろう」

「でも、このマンションは?」

「創一郎にでも引き渡せばいい。あいつはまだ実家暮らしだからな」


まやかとの縁談は順調に進んでいるらしい。近いうちに家を出なければならないだろうし、あいつなら俺の住んでいた部屋となれば喜んで飛びついてきそうだ。


「そうでなくても、最上階はすぐに売れるさ」

「そんな、悪いよ」

「元々この部屋には思い入れなんてない。タワーマンションでの暮らしがどういうものかが知りたかっただけだ」


美和は口を半開きにしたまま、また固まってしまった。

言い方が悪かっただろうか。


「悪い。美和との新居は改めて用意しようと思っていたから、それまでは何でもいいかと……」


言い訳をすると、美和は苦笑した。


「そうだったね。瑛真はあまり物欲がないんだった」


勝手に納得して、ワインを勢いよく喉へ流し込んだ。


「おい、そんな飲み方をするなよ」


釘を刺してから、すぐにシャワーを浴びた。

美和はそこまで酒が強くない。酔い潰れる前に戻らないと。
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