御曹司と婚前同居、はじめます
「出来ました」

「離れたくないな」


耳に温かい吐息がかかる距離で囁かれた。

その瞬間、痺れるような感覚が身体の芯を突き抜ける。


「ちょ、ちょっと!」


慌てて抑えた手も耳もかなり熱い。

これは絶対に顔が真っ赤になっているはずだ。

瑛真も気づいているよね……?

こわごわと瑛真を見上げれば、


「また後で」


にこやかな微笑みと共に、頬にキスが落ちてきた。


「――!!」


な、何してくれてるの!?

あまりに唐突で防ぐことが出来なかった。

唇をわなわなと震わせるだけで言葉を発することができない。そんな私を置いて、二人はさっさと部屋から出ていってしまった。


「えー……」


静かなリビングには、小さな嘆きの声が良く響いた。


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