御曹司と婚前同居、はじめます
目上の瑛真に対してこんなに温和な態度を取ることが出来るのは、瑛真がそれを許しているからだ。

部下に傲慢な態度を取っていないと分かって少しだけ安心した。

おじいちゃんもお父さんも優しい人だ。

瑛真だって、お金持ちだからといって性格が捻じ曲がっているだろうという先入観は持っちゃダメだよね。


「ネクタイ締めてもらえるか?」


頷いて、ネクタイを手に取る。

緊張で手が震えちゃう……。

情けないくらいに一生懸命な私の腰に、瑛真の手が添えられる。


「またそうやって……!」

「続けて」


怒ろうとしたのに、瑛真があまりにも優しい顔をしているものだから口を噤んでしまった。

……うぅ。瑛真がここまでイケメンじゃなければ、こんなふうに言いなりになんてならないのに。

この美貌を前にすると、催眠術をかけられているかのごとく自分というものが無くなってしまう。
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