御曹司と婚前同居、はじめます
ホテルレストランと大差のないメニューがテーブルに並び、ケータリングがただのデリバリーじゃなかったことへの衝撃を受ける。


「こんなに食べられないよ」

「美和と初めての食事なのに、ケータリングなんかで済ましてしまって申し訳ないと思って。少しでも喜んでもらえたらいいんだが……」

「十分すぎるよ」

「それなら良かった。明日は休みだから外で食べよう」


えーっと……。

それは生活サイクルの一部として? それともデートに誘われている?

分からなくて返答に詰まる。

無言は肯定と受け取られたのか、瑛真はにこやかな笑顔で私の頬を長い指先で撫でた。


「……瑛真って、もしかして外国育ち?」

「どうしてそう思う?」

「スキンシップが多いから」

「ただ美和に触れたいだけだよ」


イケメンじゃなければただの変態としてドン引きされる発言だ。

瑛真の甘い言葉だけでお腹いっぱいになってしまいそうなので、ひとまず向かい合わせに座って食事を進めることにした。

食べている間も熱い視線を送られて、美味しいはずのご飯が喉を通っていかない。
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