御曹司と婚前同居、はじめます
「別にそれ急ぎじゃないから。戻った後に続きをやればいいよ」


上の立場の人間にこう言われてしまったらもう断れない。


「それじゃあ……ご一緒してもよろしいですか?」

「美和さんはイタリアンが好きなんだよね?」


大好きだけど、それは一体どこ情報?


「ぜひ連れて行きたい所があるんだよ」


既視感を覚えて、これまでの緊張感が吹っ飛んでしまった。

瀬織の人達ってみんなこんな感じなの? 


「どうかした?」


苦笑いがこぼれてしまった私を見て創一郎さんが首を傾げる。


「いえ、何でもないです。イタリアン好きですよ」




連れていかれたのは、会社から歩いて行ける距離にある、裏路地にひっそりとたたずむ隠れ家だった。

一時的にあがった雨のおかげで足元が濡れずに済んだ。

看板には完全予約制と書かれている。

きらびやかなレストランじゃなくてほっとしたけれど、これはこれで高そうだ。
< 93 / 200 >

この作品をシェア

pagetop