御曹司と婚前同居、はじめます
「野暮なこと聞くんだね」

「すみません。気になったことは放っておけない質(たち)なんです」

「それなら、さっき俺が言ったことも瑛真に聞いたりするの?」


質問に質問で返された。

やっぱり、そう簡単に本心は見せてくれないわよね。


「さっきの、というのは、女性関係についてですか?」

「そうだね」

「気になれば聞きます」


これは本心だ。


「ははは」


この場に似つかわしくない笑い声を上げた。


「このままじゃらちが明かないね」


テーブルに置かれたグラスの中で弾けている炭酸水を手に取って喉に流し込み、気持ち良さそうに目を細めた。

どこまでも読めない人だわ。

しばらく互いに口を開かずにいた。沈黙のなか料理が運ばれて美味しい香りに包まれると、こんなぎすぎすした気持ちでいるのが勿体無く感じはじめる。

せっかくの料理が不味くなってしまうし、ここは素直に食事を楽しもう。


「いただきます。――わっ、美味しい!」

「良かった」


創一郎さんは言葉通り本当に安堵した顔をしている。そこには嘘がないように感じた。
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