御曹司と婚前同居、はじめます
当たり障りのない世間話をして、穏やかな空気が壊れぬまま食事を終える。


「もうちょっとゆっくりできたら良かったね」

「そうですね」


お店の雰囲気も料理も本当に素敵で満足のいくものだった。

このお店のことを知っているか後で瑛真に聞いてみよう。

予想通り創一郎さんがご馳走をしてくれたので、深々と頭を下げてお礼を言った。


「ご馳走様でした」


こんな場所、自分一人では来られなかったはず。乗り気じゃなかったけれど連れて来てもらえて良かった。

そんなことを頭の中で考えて、私ってばげんきんな女だな、と苦笑した。

――さてと。問題はここからだ。どう切り出そうかな。

並んで会社までの道のりを歩く。時折擦れ違う女性たちの視線が遠慮なく創一郎さんに注がれる。

瑛真もだけど、こういう人の隣を歩く時は自然と背筋が伸びる。
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