私と彼と兄と
「…ってめぇ!」
「…っ!!」
グイッと相川くんの胸ぐらを掴む兄。
「ちょ、ちょっと!何してんの!」
慌てて制止しようとするが、男の力に適うはずもなくーーー
「……何すか、急に」
相川くんの冷ややかな声。
無表情。
まるで動じていない様子だ。
兄はじっと相川くんから目を離そうとせず、
「華に何しようとした?」
怒りの篭った低い声で彼に訊ねた。
相川くんは、ハッと短く笑ったかと思うと、
「何って、見ればわかるでしょ?……キス、ですけど?」
口角を上げながら言った。
キ、キス…!?
相川くんが私に……!?
…なんで?
だってもう、付き合ってないのに…