人工未来画

-変動-

「それでは授業はここまでです」

そう述べるのは私たちの教師。
…といっても光で作られた人工的な先生。
AIの技術は素晴らしく、200年ほど前と違い教師という職業に人間は不要となっている。
その代わりに、正しく誤差のない知識・機能を持ったAIが教育者となっている。

また、表舞台へ出るAI及びRは人間からより愛されるよう容姿端麗に作られており、一見人間と何ら変わりない。
判断基準といえば首元にあるバーコードくらいだ。

「今日も先生かわいかったね、明理!」

「舞ってばいっつもそればっかり!」

目を輝かせて声をかけてきたのは中学からの親友である舞。
自他共に認める面食いである。

「そりゃ私は先生のために通学してるもんだからね!」

「はいはい。毎日聞いてます~」

「またその言い方ー!明理だって先輩に会うために来てるようなものでしょ?」

「ちょっ、やめてよ!もうすぐ先輩のクラスが通るんだから!」

そう。私が学校へ通う理由の半分は憧れの柊月夜先輩に会うため。
柊先輩はかっこよくて文武両道。
毎日女子に囲まれているくらいモテる先輩。
私みたいに平凡で取り柄のない後輩に目を向けてもらえるわけもなく、移動教室の際に教室の前の廊下を通るだけ。

「あ、来たよ明理!」

「っ!」

舞の声に、廊下に目を向けると柊先輩のクラスが廊下を歩いていた。
その中に一層目をひく存在。
先輩だ。

(今日もかっこいいな~)

見てるだけで幸せ。
そう思ってた時。

(え──……)

柊先輩の視線と私の視線が合った。
その時先輩はふわりと微笑んだ。

………気のせい、かな?
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