人工未来画
「ちょっと明理!授業始まるよ!」

「…うん」

気のせいだよね。
先輩が私みたいな平凡な女生徒を気にかけるわけがない。

そう思い、席に戻る。

「明理も私に面食いって言えないんだからね~!」

「ごめんって!」

前の席である舞と少しの間話す。
しばらくすると教室の四方から光が伸びてきて教卓にAIの映像が浮かび上がった。
二時限目の開始だ。
今回は英語の授業。
私の苦手分野である。

「はぁ~」

AIの先生の教え方がいかに上手であろうと、苦手なものは苦手。
そもそも翻訳専門のRがいるこの時代に他国語の教育は不要だと思う。
この退屈な授業にため息をつき、肩肘をついて校舎の外を眺めていた。
人工的に作られたような青い空。
機械の生産により昔より汚れた大気。
人類のための世界。

「では、次の文章を…………………」

授業開始から話し続けていたAIの担任が言葉を詰まらせる。
完璧であるはずの担任の初めての状況。
呆けていた私も、もちろんクラスのみんなも驚く。
そしてそれぞれの思考を巡らせた。

「舞、先生どうしちゃったの?」

「分かんない…いつも通りだったのに急に…」

ジジ…ジジジ……

教室内がざわめき始める中、急に先生を構成していた光線が不定期に点滅し始めた。
先生の姿が見え隠れする。

「先生?!」

ジジジ…ジジジ…

「みな…ジジ…さん」

光線が点滅しながら途切れ途切れに聞こえる先生の声。
ざわめいていた教室は静かになる。

「にげ…て…くださ…ジジジ…」

プツンッ───

《逃げてください》

その言葉を最後に先生は消えた。
< 5 / 6 >

この作品をシェア

pagetop