さまよう爪
食事中に泣くなんてありえない。

洗い物を済ませたわたしは出かける気にもなれず、マニキュアを塗るための、下準備をしていた。

表面をしっかり磨いて、なだらかにする。爪ヤスリで形を整える。削れたものが粉となって指にまとわりつく、ふっと息で吹き飛ばす。

甘皮にカラーが乗ってしまうと皮膚の油分が出てきてしまって、すぐに剥がれる原因になるかる。甘皮の処理は、お風呂に入ってふやけている時にするのが楽だ。

カラーを塗る際に爪の断面になるフチにも、ベースコート・カラー1度塗り・トップコートでコーティングすると更に長持ちする。

あまり量を多くせずボッテリとしないように気をつける。

先端にラメをのせると落ちにくくなるが、明日は仕事だ。オフィスでの目が気になるのでやらない。

ベージュピンクは肌馴染みが良くて、手を綺麗に見せてくれるから好きだ。ナチュラルに仕上がるからどんなシーンでも合わせやすい。

爪が仕上がると、5本の指をめいっばい広げたまま両手を前に突き出して立ちあがり移動。

何か、キョンシーっぽい。

疲れ果ててソファに座る。

両手を宙で振ってマニキュアを乾かした。

自分のつま先を見おろし、あとで、もうほんの少ししたら、足の爪も塗ろうと考えたが、ソファに深くもたれて目を閉じるとわたしはそのまま眠ってしまった。
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