独り占めしても、いいですか?
「小さい頃に読んだジャパンの小説家、中島敦様の作品に、こんな言葉がありますわ。

『昔、私は、自分のした事に就いて後悔したことはなかった。しなかった事に就いてのみ、何時も後悔を感じていた』

日和は、ずっとこのままで、後悔しませんの?」



シェリーちゃんの優しくて鋭い目が私の瞳を捉えた。



自分が選んで行動したことについて、何も後悔することはない。



って、ことなのかな…



「私は…そんな風に考えられないよ…

きっと、行動を起こして失敗したら後悔すると思う。

私は、0点か100点の勝負より、平均75点の今がいい」



本当に?



心のどこかで、そう言っている私がいる気がした。



「それってさー、結局4人を信用してないんじゃないの?」



「ちがっ…」



「だってそうじゃん。

信用してたら0点の結果なんて考えないでしょ」



厳しい表情で私を見つめる朱莉。



隣で「独り言とは…」っていうシェリーちゃんの声が聞こえた。


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