独り占めしても、いいですか?
「やっぱり今年は…僕達、全員はもらえないのかな…?」



優希が手に持っていたチョコをそっと机に置いた。



「そうだね、今年は本命の1人にしか渡さないのかも…」



秀也の言葉で全員が表情を暗くする。



いやいやいや、こんだけチョコもらってバレンタインの主役みたいな奴らがなんて顔してんの⁉︎



…ん?っていうか本命の1人って…



もしかして、日和の気持ち、知ってるの…?



少し嫌な予感がした。



「ねぇ、何で日和に本命がいるとか思うわけ?」



「えっ、朱莉ちゃん、気づいてないの?

だってひよちゃん、明らかに…」



そこまで言って言葉を止め、チラッと凛に目を向けた。



そこには誰よりも重い顔をした凛がいて…



みんなが日和の気持ちを知っていたことの驚きよりも、そっちの方が印象に残った。



『日和は俺がいただくぜ!』的なノリだと思ってたのに…



5人の中で恋仲のメンバーが出ることは、日和だけの悩みじゃないってことか。



「最近の日和、好き好きオーラだだ漏れだからね。

嫌でもわかるよ」



少しだけ辛そうに秀也が言う。



うわー、日和ダメじゃん。



超バレてるんだけど。



「凛、告白は男から行くべきだ」



「……わかってる」



凛は…ノリ気じゃない…みたい。



両想いってわかってんでしょ?



なんでそんな顔するんだろ。



なんとなく、他の3人に遠慮してるってだけじゃなさそうな気が…



「なんかみんな、意外とあっさりしてない?

いや、ホントは相当辛いんだろうけどさ。

正直、透なんかはもっと食らいつくと思ってた」



「俺は…日和が幸せならそれでいい」



「ふーん…」



何をするにも日和の幸せ第一優先、か。



もうちょっと自分の意志にわがままになってもいいと思うけど…



私達まだ高校生だし。



まあ、よく言えば…私なんかより全然大人ってことだけどさ。


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