独り占めしても、いいですか?
☆*:.。. .。.:*☆



プルルルル…プルルルル…



ダッダッダッダッダッ



「はい!雛咲です!」



「私フィオール株式会社の槙と申します。

お母様はいらっしゃいますか?」



なんだ、颯斗にーじゃない…



「ママは今外に出てます」



本当はいるけど。



ママ、めんどくさい勧誘は嫌いだから、それっぽい人には外に出てるって言っといてって、頼まれた。



「そうですか、お忙しいところ失礼しました。

後日改めてお電話させていただきますね。

失礼致します」



「失礼します」



ガチャン



受話器を置いて、2階への階段へ足をかける。



颯斗にー、いつになったら電話くれるんだろう。



もう1週間も経つのに、1回も電話なんてきてない。



私の方はママにダメって止められたから、かけられないし…



「颯斗にーの嘘つき…」



本当は幼稚園のこと話したいのに。



友達の作り方、教えてほしいのに。



なんで、電話くれないの…?



バカ…



なんてことを思いつつも、その日は電話が鳴るたびに颯斗にーであることを期待してた。



結局3件かかってきたけど、全部ママ当てで颯斗にーじゃない。



この日も颯斗にーの声は聞けなかった。


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