独り占めしても、いいですか?
唖然として2人を見つめていると…



「凛、あいつ…」



私と目があった透君が、こっちを指差して言った。



まずいっ!



と思って慌てて顔をそらす。



「んー?……あっ!お前!」



凛君にまで気づかれた。



もう、ホントに最悪…



無視しよう。



「ひな……何だっけ。

ひな…ひなぎし…?日和!」



スゴッ



「雛咲!」



思わず向こう側へ叫んでしまった。



だって、名前を間違えられたら無視できないじゃん!



人のこと指差したり名前忘れてたり…



もう!いろいろ最低!



「日和、もうお友達できたのね!」



嬉しそうに話すママを見てると、『友達じゃない』って言いづらくなった。



「ママ、バス来たよ」



あまり深く探られたくない私は、話を変えるため、タイミングよく迎えに来たバスを指差した。



家の前までバスが来ると、プーという音を立ててドアが開く。



「行ってらっしゃい!」



「うん」



憂鬱だけど行くしかない。


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