独り占めしても、いいですか?
「ママがね、クッキー焼いてくれたの!

よかったらみんなもどうぞ!」



「サンキュー!」



「……ありがとう」



「日和ちゃんも、どうぞ!」



「ありがとう」



そう言ってクッキーを1枚受け取る。



ハート型のクッキー。



焼き色はほんのりで食べたらサクッホロッてしそう。



すごく美味しそうなのに、今の私は毒リンゴを渡された白雪姫の気分だった。



姫乃ちゃんのお母さんが作ったから毒なんて入ってるわけないけど…



姫乃ちゃんがあのイジワルな白雪姫のお母さんに見えて仕方ない。



「どう⁉︎凛君、透君!」



「うまい!」



「美味しい」



「ほんと⁉︎じゃあまた作ってもらうね!

あっ、そういえば今日ね…」



私を通り越して盛り上がる会話。



やっぱり私、この席にいる必要ないんじゃ…?



私1人だけ別世界にいるみたいだった。



私…毎日こんな生活になるのかな…



そう考え始めると、気分が落ち込んでくる。



この先が不安でしかない。



幼稚園までの道が異常に長く感じた。


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