何度でも恋に落ちる
「…翼がどうしたの?何か…あったの?」


「持田さんが…死んじゃうっ!」


「死…!?」


「原チャで千夏の所に向かってたみたいなんだけど、トラックと出会い頭にぶつかったって…。私と隼人、持田さんが運ばれた総合病院にいるから、千夏も早く来て!」



真弓の言葉を聞いた千夏は一瞬固まると、体から力が抜け、携帯を落とした。




なんで…
なんで翼が?

私の所に向かってる?



なんで?

翼は地元に帰ったんじゃないの?


私の事なんて忘れちゃったんじゃないの?






“ちー。必ず迎えに行くから待っててね”







千夏は携帯を手に取ると、走ってアパートから出て行った。





嫌だ…嫌だよ、翼。


記憶なんて戻らなくていい。



もう一度私を愛して欲しいなんて言わない。


私の一生の片思いでいい。



それでいいから死んじゃ嫌だよ!





千夏は大通りに出てタクシーを停めると、翼が運ばれた総合病院へと向かった。




自分が震えているのか、車の振動なのか。


それさえわからない程、千夏は震えていた。






病院に着いた千夏が急いで中に入ると、ロビーに座っていた隼人と真弓が千夏に駆け寄る。



「真弓っ…翼は!?翼はどこ!?」

「302号室よ。早く行ってあげて」



千夏は頷きながら涙を拭うと、翼の元に駆けていった。
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