物理に恋して
ブランコを囲む手すりに寄りかかる。

隼人くんは手すりに後ろ手をついて、ひょいっと腰掛けた。



「秋野さん!赤外線つかえる?」

「う、うん」



わたしは携帯を開いてツールボタンを押した。



その時。



「あっ」

「どーしたの?」



隼人くんが上から覗き込む。



「あ、えと、知らない番号から…」

「どれー?」



そう言ってわたしの手から震える携帯を取ると、いとも簡単に通話ボタンを押した。



「もっしもーし?」



耳に当てて上を向き、明るく電話に出る。

「あっ」

声を出してから思わず潜めて、様子をうかがう。

「うわっ!切れた」

ディスプレイを見つめてそう言うと携帯をわたしに渡す隼人くん。

「またかかってきたら俺が出てあげる!」

「ありがと…」


頼もしいなと思いつつ、友達からとかだったらどうしようとも思った。
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