その男、極上につき、厳重警戒せよ

「そうですよ。大山さんも行きましょう」

「うーん。まあいい、ちょっと家に電話する」

「大山さん、尻に敷かれてるんじゃーん」

「こら、馬鹿。言っていいことと悪いことがあるぞ」


恭平の頭を小突くと、大山さんはにやりと笑ってこっちを向いた。


「君たちはまだまだだな。女房に手綱を握らせることで、生まれる信用もある。……あ、もしもし、俺だ」


大山さんの声が少し柔らかくなる。いつもどちらかと言えば寡黙な印象のある大山さんの言葉は、一言一言が重い。


「……勉強になります」

「かっけーなぁ、大山さん」


大人の男はカッコいい。
大人になってもまだ、自分より年上の男にはそう感じることがある。





 向かった先は、会社からそう遠くない刺身が自慢の居酒屋だ。座敷には衝立があり、そこまで騒がしくはない。
他に残っていたやつにも声をかけたが、みんな予定があったらしく、結局俺と恭平と大山さんの三人だけだ。
足を崩して乾杯をした途端に、大山さんが俺に狙いを定めた。


「で、深山君はどうなっているんだ」

「どう、とは?」


まだ大して飲んでもいないのに、大山さんが前のめりに来るのがなんだかおかしい。
警戒して構えると、彼は眼鏡を直してずいと俺の顔を覗きこんできた。

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