【短編】不機嫌な最下くん


「最下くん髪サラサラだよね〜!トリートメントなに使ってるの?」


「別に…特になにもしてないよ?」


移動教室のため廊下を歩いていると、私のすぐ前を歩く最下くんと女の子がおしゃべりしてるのが聞こえる。


やっぱり…私だけにだ。


女の子と話してる最下くんを見る限り、全然怒ってる感じはない。



「えー!何もしてないのに、そんな綺麗なの?もともとの髪質か〜羨ましい〜!」


「ハハハッ、佐藤さんも綺麗じゃん」


最下くんはそう言って、彼女に得意の癒しスマイルを振りまいた。


最近、私に向けなくなったその笑顔。


ちょっと前は、仲良い方だと思ったんだけどな。


癒しスマイルを振りまいた最下くんは佐藤さんに「あー!なんでそんなに可愛いの!」と言われながらふわふわでサラサラの髪をクシャクシャっとされていた。


いいな。


私も最下くんの髪触りたい。



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