好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
だって俺、あの時相当バカなこと言った気が……。
「こいつ女に告られててさ、次の彼女にしてくれとまで頼まれて『いいよ。君よく見たら可愛いし』とかほざいてたんだけど」
「おい!」
そう考える暇もなく、こいつはあの時の様子を鮮明に話し出す。
止めようとしたところで、その口は閉じることもなく。
「その後がもう傑作でさぁ〜。『けど俺は舞と別れるつもりはないから死ぬまで独身貫いて俺のこと待っててくれる?』だって」
「うわ、なんだそれっ!」
ケラケラと笑う奴らをよそに、俺はもう穴に入りた過ぎてしょうがなかった。
「で、そのあとは『もし別れたとしてもそれは俺が振られた時だから、君は一生舞の身代わりになるよ』って。『舞しか見てない俺の彼女に本当になりたい?』って」
「お前らいい加減に……」
「で、結局その子は泣きながら出て行きましたとさ」
めでたしめでたし、だなんてこっちが制止する甲斐もなく全て暴露され、完全に公開処刑状態。
「腹黒いな〜、桐谷」
「上げて落とすタイプか」
「うるせーぞ」
面倒な奴らに面倒なことを知られてしまったと気付いたところで、もう遅かった。