Tell*You








「……はぁぁー。
陽汰……もう出たかなぁ……」





昨日はあれから特に何をするでもなく別れた。


それでもよかった。


特別なことがあれば別れがより寂しくなってしまうから……。


だから見送りも……しない。



翌朝、私はいつも通りのサイクルを繰り返して学校へ行く準備を整えた。



もう……この扉を開けた先には陽汰は……



いない……



「よーっす!
璃乃っ」




……はずで……!?






「……はいっ!?
ちょ、ちょっと!
陽汰ぁ……!?」


「なーにビックリしてんだよ?
いつも通りの時間だろ?」


「だからビックリしてんの!!
引っ越しは!?」





私の叫びにも近しい問いにポカンとしている陽汰。


……いやその表情をしたいのはむしろこっちなんですが……?




「あー、あれ?
あれ嘘なんだけど」


「嘘ですとぉぉ!?」


「母さんにでも聞かれてすぐバレると思ってたんだけど?」


「わざわざおばさんにも聞く訳ないじゃん!
陽汰が引っ越すって言ったから本当にそうなのかと……!!」





……嗚呼、神様……


私の悩んで落ち込んだ3日間を返してください……!!


そんな簡単な嘘にまんまと引っかかった上に嘘とは何事っ!?




「まぁ璃乃も素直になってくれたし
終わりよければ全て良しってことで!」


「そんな言葉で納得出来るかぁぁぁぁ!
もう陽汰なんて本当に知らないんだから!」


「あっ!
ちょ、璃乃ー!
先行くなよ!」


「もうやだ!
着いてこないでー!」




もう陽汰なんて知らない、知らない!


あと嘘と知らずに告白した自分が恥ずかしい、恥ずかしい!



交互にやってくるそんな思いをかき消すようにブンブン頭を振る。




意地っ張りは損をする。


だけど……


意地っ張りが素直になっても損をする!!





「なぁ、ごめんって璃乃ー……?」




うーん。


でもこうやって珍しくご機嫌取りしてくれる陽汰が見れたしいい、かな?




「……もう、しょうが……」


「よし!
じゃあ学校行くぞ学校!」


「やっぱ陽汰なんかやだ!」





と、思ったけどやっぱりやめやめ!


当分素直になるのはやめにするんだからぁー!!





【END】



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