Tell*You
*
「……はぁぁー。
陽汰……もう出たかなぁ……」
昨日はあれから特に何をするでもなく別れた。
それでもよかった。
特別なことがあれば別れがより寂しくなってしまうから……。
だから見送りも……しない。
翌朝、私はいつも通りのサイクルを繰り返して学校へ行く準備を整えた。
もう……この扉を開けた先には陽汰は……
いない……
「よーっす!
璃乃っ」
……はずで……!?
「……はいっ!?
ちょ、ちょっと!
陽汰ぁ……!?」
「なーにビックリしてんだよ?
いつも通りの時間だろ?」
「だからビックリしてんの!!
引っ越しは!?」
私の叫びにも近しい問いにポカンとしている陽汰。
……いやその表情をしたいのはむしろこっちなんですが……?
「あー、あれ?
あれ嘘なんだけど」
「嘘ですとぉぉ!?」
「母さんにでも聞かれてすぐバレると思ってたんだけど?」
「わざわざおばさんにも聞く訳ないじゃん!
陽汰が引っ越すって言ったから本当にそうなのかと……!!」
……嗚呼、神様……
私の悩んで落ち込んだ3日間を返してください……!!
そんな簡単な嘘にまんまと引っかかった上に嘘とは何事っ!?
「まぁ璃乃も素直になってくれたし
終わりよければ全て良しってことで!」
「そんな言葉で納得出来るかぁぁぁぁ!
もう陽汰なんて本当に知らないんだから!」
「あっ!
ちょ、璃乃ー!
先行くなよ!」
「もうやだ!
着いてこないでー!」
もう陽汰なんて知らない、知らない!
あと嘘と知らずに告白した自分が恥ずかしい、恥ずかしい!
交互にやってくるそんな思いをかき消すようにブンブン頭を振る。
意地っ張りは損をする。
だけど……
意地っ張りが素直になっても損をする!!
「なぁ、ごめんって璃乃ー……?」
うーん。
でもこうやって珍しくご機嫌取りしてくれる陽汰が見れたしいい、かな?
「……もう、しょうが……」
「よし!
じゃあ学校行くぞ学校!」
「やっぱ陽汰なんかやだ!」
と、思ったけどやっぱりやめやめ!
当分素直になるのはやめにするんだからぁー!!
【END】