イジワル男子の甘い声




ケチャップで書いた、形が少しいびつな『ありがとう』の文字。


これは流石に気持ち悪るすぎたかな。


でも、柏場に感謝を込めて作るって決めたんだもの。


イジワルな言い方や冷たい態度をとる彼だけど、ちゃんと最後まで私の勉強を見てくれていたし。


声には出さないけど、オムライスの前で手を合わせる柏場。


教室でしか知らなかった時よりもずっと、印象は変わっている。



「いつからやってんの、料理」


っ?!


いつも無言で食べてる柏場が突然話しかけてきたので、ケチャップライスをすくったスプーンを落としそうになる。


「あ、えっと…中学から交代制で。うち、昔にママがなくなったから、それからずっとパパと2人きりで」



「そう」



「小学生の頃は、火が危ないからって1人でキッチンに立つのは許してもらえなかったんだけどね。あ、私が中学の時、初めて自分で卵焼きを作った時にね……あっ、」


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