イジワル男子の甘い声

「それ言うためだけに、わざわざ走ってきたわけ？」


「へっ、そうだけど。だって、意外とマンションで会えないし…学校でも…なかなか…話せないし」


後半ごにょごにょと濁してしまったのは、ちょっとした罪悪感からだ。


学校で柏場と話せないのは、つい先日までミカたちと同じように柏場の悪口を言ってたくせにっていうのと、

嫌われてる柏場と話してるのを見られたらみんなからどう思われるんだろうって気持ち。


「あっそう。それにしてもいつもより増しておめでたい頭だな。返ってきた答案用紙を見て初めて喜べよ」


「いいじゃん！全問埋められたとか、人生初なんだから！」


「うるさい」


ほんっっと、可愛くないなぁ！
素直にどういたしましてって言えんのか！


「まぁ、よかったじゃん」