イジワル男子の甘い声
「え、あ、うん。あの柏場くん、この後みんなカラオケで打ち上げだって言ってるけど…」
こんなものに柏場が来たことないことくらいわかっている。
だけど、今回のテストは絶対柏場の助けがあったおかげだし、柏場にもたまには学生らしいことして欲しいって思った。
「用がある」
「…そっか」
何よ。
何ちょっと落ち込んでるのよ。
柏場なんて、いつもいないみたいな存在じゃないか。いてもいなくても変わらない、って言うか、どっちかというといない方がありがたい方じゃないか。
「結果、」
「へ…?」
声がして顔を上げると、睨んでも怒ってもない顔で柏場がこっちを見ている。
「結果、楽しみだな」
「……」
気付いた時には、私の真横をこの間嗅いだ柔軟剤の匂いが通って。
横目で確認すれば、静かに彼の薄い唇が上がった気がした。
嘘…。
今…柏場…。
笑った?