イジワル男子の甘い声


すぐにアプリを開いて、sakuのアカウントをタップする。


『お久しぶりです。本当にすみません…最近忙しくて。近いうちにいい報告が出来ると思うのでぜひ待っててください』



穏やかで少し高い彼の声。


寂しさと疲れで空いていた心の穴がみるみるうちに塞がれる。


忙しいって…仕事関係かな。
もしsakuが学生なら、私たちと同じようにテストとか受けるのかな。年が近いなら、親近感が湧いて嬉しい。


『[いい報告ってなんですか]…んー。今はまだ内緒です。楽しみに待っててください』


ファンの子のコメントを読んで答えるsaku。


コメントが読まれているのをみて羨ましくなることもあるけど、私には不特定多数の人が見てるところでコメントを残す勇気なんてない。


一度だけ、初めてsakuの歌声を聴いた瞬間、感動と驚きで、高ぶった感情のままファンレターを書いたこともあるけど。


少し恥ずかしいけど、私の気持ちが彼にちゃんと伝わってくれてたらいいな。


絶対に。


テストの結果、無事でありますように。


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