イジワル男子の甘い声


「やっぱり勘違いじゃねー」


「えっ、」


っ?!


柏場は、急に私の唇に親指を当てるとゆっくりとつけていたグロスを拭った。


「あいつの匂いがする」


「あ、あいつ…?」


突然の状況にまだ私は頭が追いつかない。


「とぼけんなよ。俺が抹茶好きだとか、誰から聞いたんだよ」


っ?!


だんだん柏場の顔が近づいている気がするけど、これ以上後ろに逃げられない。


急にどーしちゃったって言うんだ。


クッキーに変なもの入れた?私。


「ノ、ノアから」


「だよな。ずっとあいつの匂いがしてる」


そりゃ、ノアの香水はほんの少し強めですぐにわかるけど、そのあとクッキー作ってたし完全にわからなくなってるものだと。



「しかも、なにこれ」


柏場はそういって、ピンク色に汚れた親指の腹を私に見せてそう言う。


「えっと、ノアが…お気に入りのスタイリストさんがいるって…それで…」


「それで?お前の分際で色気付いてみようってか?その様子じゃ、1度しか会ってない感じではねぇーな」


何を急に怒ってるんだろう。柏場は。

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