イジワル男子の甘い声
「俺とのデートだから、こういうの着たわけ?」
「うっ、そうだよ。ダメ…だったですか」
私がそう言うと、彼はクイッと片方の口角だけあげてニヤッとした。
「ダメ」
「ううっ、そんな…」
自分に似合わないとはわかっていたけれど。
そんな真っ向から言われるとそりゃ傷ついてしまう。
「外で着るってことは俺以外にも見られるってことなんだけど」
「えっ、」
もしかして…柏場…。
柏場の顔がだんだん近づいてきて…。
これって…。
「柏場くんもしかしてヤキモ───」
「お前のくせに生意気なんだよ」
「ふげっ、」
柏場が私の頭に華麗なチョップを打ち込むと、タイミングよく、エレベーターのドアが開いた。
なんだ…バカみたいだ。恥ずかしい。
ヤキモチ焼かれると思った。
キスされるのかと思った。
早くも自惚れすぎである。