花と君といつまでも(完結)
私の母は病弱で、父は旅人と言うか放浪人と言うか とにかく自由な人だった。

母は父と一緒にいたくて、既成事実を作った。
子供がいれば一緒にいてくれると思ったから


でも父は妊娠中も何も変わらなかった。
変わったとしたら結婚しただけ
あとは、定期的に紫苑の花が送られてきていたことくらい。
もうすぐ子供が生まれるって言うのに、どこにいるのかわからない。紫苑の花が送られてくるだけ。



紙切れだけの結婚したって意味が無かった。結婚しても、花が送られてくるしか生存確認も出来ない。
母は、寂しくて精神的に病んでしまっていた


母は病気で出産も命取りだ。
次に父に会うには、子供を諦めなきゃいけないかもしれない。
自分の命を守るには子供は最悪の場合諦めなきゃいけない。

母は落胆した。自分はこんなに最低な人間なのかと。子供より自分を優先したいと思ったからだ



そんな時母に電話が入った。
それは警察からだった。母の嫌な予感は当たった。
愛する旦那が死んだ。死因は自殺。


でも他殺だったことが後日判明した。


父はいわゆる御曹司だった。
政略結婚させられる予定だった所母と恋に落ち、2人は駆け落ちした。


最初は別に放浪癖なんて無かった。
でもいつの間にかそうなってた。

でも実は父は放浪なんてしてなかった。
駆け落ちに見せかけたけど、病弱な母を支えるため父は会社を継ぐ準備をしていた。

準備をする中で、婚約していた相手方に迫られていた。
でも父は母を愛していた。それが気に食わなかった婚約者は感情的になり、最終的に父を殺してしまったらしい。


母は 耐えられず不安定になり、切迫早産になった。
私は2000g以下で生まれた。


しばらくは何も考えることも出来ず、出生届けもままらならなかった

看護師さんに名前だけでもと言われた時、紫苑とだけ呟いた。だから私の名前は紫苑。
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